三雲修に注目しながら観る! その1「モールモッドに苦戦」

三雲修に注目しながら観る! その1「モールモッドに苦戦」

勝てない敵には勝てない。
ワールドトリガーはそういう漫画。
持たざるメガネの物語もそこから始まる。

 

モールモッドに苦戦

遊真と出会って間もない頃、通っている学校にモールモッドと呼ばれるトリオン兵(巨大な敵)が出現。

修はトリオン体(仮面ライダーの変身みたいなもの。実際はアバターに近いが)になり、クラスメイト達を助けに向かうが……。

と、序盤の展開はこんな感じ。

学校に向かう修の姿は、ヒーローのようであり、主人公らしくもあるんだけど。直前、遊真に現実を突きつけられる。

「オサムの腕じゃ死ぬぞ?」

「?」が入ってるけど、疑問文って感じではないんだよね。遊真の言い方は戦えば「死ぬ」と断言している感じです。遊真は修より遥かに強く、そのことを修は知っているので、それが事実であるとすぐに理解(敏い

しかしそれでも修は学校に行こうとする。強い意志で。

ヒーロー気質。弱者を守ろうとするところが特に。

しかし遊真はさらに引き止めるように――「いやもう1回言うけど……」と前置きをした上で「オサム死ぬぞ?」と修に言う。

さらにその後、

「モールモッドを一匹殺すには、オサムが20人はいなきゃムリだ。それで勝てたとしても20人中18人のオサムは死ぬ」

と、修の戦力を理解した上で断言。

この言い回しが凄く好きです。

『危険の表現』としてすごく上手いと思う。
やっぱりキャラクターの発言って物語を支える大事なポイントなんですよ。

とにかく遊真の発言で戦力差がこれではっきりと分かる。

ちなみにモールモッド戦の前にすでに修は負けを経験(別のトリオン兵に吹っ飛ばされて、その際遊真に助けられている

修にとって危ない敵というより勝てない敵であるということがよく分かる。運が良くても勝てない。
それでも修はモールモッドと戦う選択肢を取ります。
これがよくあるジャンプ系主人公なら、ここで隠された力が解放されたり、不思議なことが起こってモールモッドを倒すのでしょう。

けど、ワートリにはそういうのは一切ない。

絵柄の割にシビア。

この後、持たざるメガネがどうなったかは言うまでも無い。
ただし修の性格、意志を汲んでくれる人はいる。
結局、モールモッドは遊真が修のトリガーを借りて倒すことになります。
ちなみに修のトリガー(武器)は訓練用のものでした(遊真の強さがパワーだけでないことが分かる

この話の展開で面白いのが、早い段階で遊真は修の心配をしてるんですよね。
タンパク坊やに見える遊真ですが、案外彼も面倒見が良いです。
これは遊真が出会って間もない時点で修の性格、人の良さを見抜いていたということでもあります。
まあウソがわかるしね。サイドエフェクト(超能力みたいなもの)で。人を見る目は他人よりある方なのかもしれませんね。

とはいえ学校の人達が死ぬ可能性を踏まえて修を止めていたわけだから、そこは冷たくもある。
修が動いて、遊真がフォロー。この流れが無かったらクラスメイトはもちろん、大勢が死んでいたでしょう。

 

 

その2

三雲修に注目しながら観る! その2「修が弱い理由」

 

葦原大介/集英社・ワールドトリガー1