ヴォルグ・ザンギエフvsマイク はじめの一歩

ヴォルグ・ザンギエフvsマイク はじめの一歩

一番好きなキャラ。の世界戦。

この試合は対戦相手も良かった。理不尽もあったけどそこが救い。相手がしょぼいと盛り上がらないよね。

親友ふたりが応援していたのも良い。断固抗議……マジでしそう。切れると千堂よりこえーわ。

 

無冠の帝王

強いがタイトルがないという不名誉な異名。

立場が悪いということも試合の前から分かる。不利な判定、短い準備期間。それでも舞い込んできたビッグチャンス。

一方、日本では一歩のところへ千堂が。『親友』を応援というこの流れけっこー好き。それぞれが共に接戦だった。千堂なんてぶっちゃけホームジャッジがなかったら負けてたよね。

 

謎の対戦相手

先に断っておくと、この頃のはじめの一歩はあまり好きではない。ブライアン・ホークが全盛期だったと思っていたぐらいで、良くてイーグル戦ぐらいまでが面白かった――程度の評価だ(なんだかんだずっと読んではいるが

なのでこの試合も勝敗はどうあれ熱い試合は期待していなかった。

期待できない理由は対戦相手に因縁がない上に、強さが曖昧だからだ。さらに追い打ちをかけるように理不尽を匂わせる環境。こうなってくると対戦相手は世界基準の強さではあるがヴォルグに比べると格下、けれど審判のジャッジで険しい試合になる――というありきたりな展開を予想してしまう。

 

マイク・エリオット

しかしいざ試合が始まってみると、素のヴォルグであっても勝てなかったかもしれない実力者であり、精神的にも気高いプレイヤーであることが分かる。

頭脳も明晰で、この頃のはじめの一歩においてはめずらしいキャラクターだ。それこそイーグル以来かもしれない。

『ホワイトファング』の止め方も、改めて見ると面白い。過去の武器を使っての物差し的な展開はよくあるけど、この回に限って言えばキャラクターと行動が一致していて読み返した時に面白いリアリティがある。

 

飛燕からの燕返し、燕返しからの……

団吉が付いているってそういうこと。千堂が知らないのは少し意外だったが(一歩の真田戦見てなかったのか?

飛燕に関してはセンスが無いと使えない技術だと思ってたけど、センスというより相性だったらしい。飛燕に手こずってるのを目の当たりにした団吉が楽しそうなのが何より。

燕返しまでが非常に長かった。ボディからのホワイトファングが避けられた時点でこうなる展開は予想できたけど、それでもギリギリまで耐えてからの燕返しは上手い。しかもそれすら囮(おとり)という。気が緩んだところへホワイトファング。これこそがヴォルグと団吉の狙いだった。

この辺のやり取りは一歩のリアクションも良かったね。

 

ヤマトダマシイ

嫌いじゃないわい。っていうか大好きだろ。

団吉に影響されたのかなって一瞬思ったけど、団吉のリアクションからして違う。一歩、千堂に影響されたのだろう。

彼はリング外でも戦っていて、それでも腐らずに前を向いている。誇り高い狼である。

イーグルの拍手もそれを知った上でのこと。というかこの漫画の過去キャラが威厳を保ってるってめずらしいな。この作者のスタイルだとイーグルとかかませになりそうなものなのに。

 

まとめ

強いのにチャンピオンになっていない。こういうキャラクターは魅力があると思う。

実力があるのにそれが発揮されていないと応援したくなるっていうのかな。無双とまではいかないまでも、勝利はして欲しい。あるいは作中のキャラクターに評価して欲しいと思う。

しかもヴォルグは読者視点でも報われるまでが長かった

だから勝った時にテンションが上がるんだよね。ただヴォルグの高潔さは読者の予想を上回ったと思う。アメリカに感謝の意を伝えるなんてできないよ。普通ならこうはならない。少なくともジャッジに対する不満は残っただろう。

マイク・エリオットの扱いも非常に良かった。ちょっと作者の狡い部分も出たけどね。ダウン後の復帰で記憶がとぶというのはややリアリティが無かった。そりゃあそういうこともあるんだろうけど、この試合の場合はヴォルグの対戦相手の質を落とさない為の作為的な工夫だろう。

 

 

森川ジョージ、講談社、はじめの一歩