『サイコロジカル(下) 曵かれ者の小唄/西尾維新、竹』レビュー
- 2019.01.09
- 小説、ライトノベル
疑問の残る解決編と素晴らしき後日談。このセットが素晴らしい。
戯言シリーズで一番好き。
最も推理小説
推理しても後で損しない良質な推理小説。ダメそうな部分も後でちゃんと回収してくれる。
周りは敵か味方か分からない上、見つかったら終わりって状況も緊張感があってグッド。彼女と組んでる時点でシチュエーションがスパイものみたいになる。
助っ人、石丸小唄(仮)
大泥棒。「十全ですわ」でもおなじみ。というかおなじむ。彼女がいたから……といったシーンも多いのがサイコロジカルの特徴。オチまで見るとそれも納得なんだけどさ。助けないわけにはいかないじゃん?
この人も色っぽい系。戯言シリーズは大人の女性が多いよね。いーちゃんとのイチャイチャシーンとか、結構印象深い。まあ本人じゃねーけど。
面白いのが銃のくだり。重さがどうとか、引き金を引く力がどうとか、あれもまた戯言なんだよね。単に言葉でのミスディレクションで普通の域で倒せるようにした可能性もあるけど。全体的に人外の動きは控えめだった。声帯模写以外は。
「零崎」を名乗ったのは何だったんだろうね。ミスリードだと思うんだけど。普通は零崎姓は名乗らないわけだから普通じゃない感が出てしまうはずなんだけど。はてさてどういう意味があったのか。
恩師、三好先生
いーちゃんのこと大好きなんだろうなー、この人。好かれることに慣れていない戯言遣いだけがそのことに気付いてない。
まあ彼女の行動は好きな男子にちょっかいを出す女子のようなものでもあるけどね。
今回の件が戯言遣いにとって解決できるものであると確信しているようでもあって、そういう意味では良き(悪き)理解者でもある。
まとめ
制限時間と制限のある状況により生まれた危機感が読む意欲をかき立てる。
種明かしには疑問が残るが、そこは後日談で解消される。
この小説の良さは主にこの2つ。
少しばかし本気をだしたいーちゃんが大活躍ってのもポイント。
茶番的謎解きから本領を発揮。その前のナイトのように友を守ろうとする姿もいいんだけどさ。
会話パートも小気味良く、上下合わせてサイコロジカルは意外と読みやすい作品でもある。キャラクターが多くなると文章で見せるのが難しくなるんだけど、この小説は地の文以外でも割とすぐに個性が出る。それが影響してか、部分的に読み返してくなることも多い。
後日談に出てくる大学生とかもそんな感じ。こいつらが変人であることが1ページそこそこで分かっちゃう。つーか変人磁石なんじゃねーの、いーちゃんって。ジョジョネタとかもあって楽しそうではあるんだけどね。
ところでこの話、鈴無さんは誰が犯人なのか気付いてないんだよね。種明かしのシーンとか、個人的には見たかった。ま、いーちゃんの評価はそれでも揺るぎないんだろうけどね。
新書→文庫
これを石丸小唄と呼ぶべきか。
メガネ変装に向いている論は合ってると思う。スーパーマンやスーパーガールだってそれだけで顔バレ回避してるもんね。
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