【マイホームヒーロー】クライマックスは5巻 それ以降は惰性
- 2020.10.14
- 漫画レビュー
「とんでもねえ夫婦だな……」
ここが最高潮。
恭一の驚きこそ、鳥栖哲雄が普通でない証拠。しかも彼には頼りになる妻もいる。イレギュラーとしてはあまりも大きすぎた。
警戒されていた哲雄
この巻ではすでに哲雄は疑われていて、警戒もされていた。暴力において圧倒的に有利な恭一が、ふたりきりになっても気を緩めなかった。
唯一油断したのが料理の最中。それも一瞬のことだった――が、料理を作るように誘導したのは他ならぬ哲雄だった。
始めから計画されていたことに気付いたのは恭一が抜き差しならない状況に陥ってからだったが、このエピソードはそこまでの過程がとてもおもしろい。5巻まででも良いので読んで欲しい。オススメ。
ちなみに第1部は6巻まで。
他人(恭一)を殺すという覚悟
とはいえ鳥栖哲雄も元は一般人(2部を読むとそうでもない気もしてくるが)、殺人の経験は浅い。
なので恭一を殺すことにはためらいがある。しかし家族を天秤にかけて、どちらが大事かと問われれば、結果は決まっているわけで。
このシーンの前から恭一をハメる準備はしていたので、ここで決意したってわけでもないんだろうけど。
ここでのやり取りがスゴく上手い。「1年半前」というワードの使い方が絶妙。時期が一致している。そのことに気付くことを前提にしている。
しかも恭一がソレをやったとは言ってないんだよね。だからミスリードされたなんて気付けるわけがない。そもそも哲雄は半グレから見れば一般人なので相手は舐めきってる。
逆に恭一は疑ってたんだけど、哲雄はそれをも見透かして、助っ人(嫁)を用意していた。
恭一に死んでほしくないと思う読者心理
絶対に恭一が死ぬという空気感から、なぜか死なないで欲しいとも思っちゃう。
負け確なんだけど、頑張ってほしい――みたいな。
しかも作者が意図的に恭一の良い面を見せる工夫をしている。なので読者視点だと惜しいキャラクターに見えるわけだ。
ただほんとに生き残ると微妙な空気になるよね。拘束された後での逃走シーンってあまり好きじゃない。まあこの作者は映画好きなこともあって、逃亡シーンが割と多い。予想していた読者も多かったかもしれない。でもやっぱりリアリティは無くなるかな。
まとめ
6巻の麻取義辰との対決が微妙だったので、1部が名作といった感じでもないんだけどね。むしろ恭一が味方してくれたらもっと盛り上がった。2部ではそうなるのかもしれないが。
ちなみに恭一が拘束されてからだと、ちゃっかり金庫を録画していたシーンも割と好き。恭一の頭の良さを逆手に取ったんだよね、あれは。
哲雄のほうが嘘を付いているからどっちがヒーローなのかわかんなくなっちゃう。まあ家族を守る為だし、やっぱりヒーローかな、彼は。
講談社・マイホームヒーロー(5)/山川直輝、朝基まさし
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