漫画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』感想・レビュー
- 2019.04.05
- 荒木飛呂彦
岸辺露伴は動かない――ではない。むしろよく動く。
ただ内容がちょっと分かりづらいかな。見えないなにかが絶対的な強さとする時の荒木飛呂彦。こういう時の話はだいたいややこしい。
ルーヴル美術館に出展されたそうだが、フランスの人たちははたして理解できたのだろうか。
圧倒的迫力ッ
フルカラーの方の話。123ページで2800円もする。そして重い。内容的に言うとその価値はありま……以下略
とりあえず絵的には凄い。作者が死ぬほど気合いれたのか、絵だけで見れるようなページも多い。引き込まれるような絵だ。でも億泰とかの顔はおかしなことになってるんだよな。『岸辺露伴は動かない』でもめったに登場しないし、しょうがないっちゃしょうがないけど。
恐怖感も凄い。
普段使われてない建物に行くってだけでホラー感が強いのに、そこに謎が加わって最凶になる。逆に言うと何が起きているのかわからないという空気がクライマックスで、オチは微妙だった。
色彩に力を入れていたらしく、そこに注目して観るのも面白いだろう。カラーで映える作品だ。
色気と情緒不安定さ
既婚者の女性が出てくるのだが、これがホラーで言うお色気担当。ホラーとエロの親和性は非常に高い。そして高確率でそういったキャラクターは死ぬ。
エロいといっても特別なにかをしたわけではない。何か色気があるぞ、大人の気配がするぞ、ぐらいの感じである。だがそこが返って刺激的なのだ。岸辺露伴が若過ぎるので、返って女性が艶かしく見える。思うに岸辺露伴にとっては彼女の存在も『謎』だったのだろう(後に解明されていくが)。
しかしちょっと情緒不安定さが激しすぎないかな。ジョジョの時もそうだが、わがまま言ったり、唐突な行動にでる女は多い。急に来る強引さとでも言えばいいか。私は絶対に譲らないわよ。そういったシーンが多い。
まとめ
日本のホラーっぽいテイスト。だけど『ヘブンズ・ドアー』の使い方はジョジョ。自分に命令することで危機を脱するところがそれっぽい。
なにか分からないけどヤバイぞって空気が全てみたいなところもある。
読者が分からない部分を露伴が説明しているのが気になった。こういうスタイルはもう古い。物語としては若干逆行しているような気さえする。もっともこれだけ個性があればジョジョを読んだことが無い人にとっては新鮮に映るだろう。
岸辺露伴が登場するエピソードは『ルールは絶対』ということが多い。その強制力にどう対応するのか。そこもまた見どころだろう。
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