【ギンカとリューナ】良い漫画は説明パートを省く

【ギンカとリューナ】良い漫画は説明パートを省く

壮大な設定を冒頭から説明する漫画は駄作。

逆に説明せずに話を進めている作品は素晴らしい。素晴らしい作品は無くならない。

というわけで今回は「ギンカとリューナ」の第1話を所感を交えつつ、漫画の魅力をお伝えできればと思います。

 

魔術のある世界で

もともと漫画の世界にはアバンまたは序盤にナレーションで設定を説明するパターンってのが結構あって、だけどそういう作品って大体駄作だよね、すぐ切られるよねってことで、少しずつ……淘汰されるように減っている。

と、どこかの編集者が言っていたが、とはいえ今でもたまに見かけるし、少なくとも説明の後にキャラクターに行動させるというケースは非情に多い。

 

このコマはリューナがひとりになった後、どのように生活しているのかを映す描写なんだけど、この時点で「魔術」ってワードが出てくる。

ナレーションなどの説明より先に出てくる。

この時点で良い作品だなって勘のいいガキなら気付くと思う(ガキじゃなくてもいいけど

さらに面白いのが、この会話の主達は動物で、それすらも説明してない。この辺もすごくいい。ベリッシモいい。

 

この後に師匠であり相棒となるギンカも登場。

彼がどういう存在かは読んでもらうとして、兎にも角にも、ここに来てもまだ魔術の説明はしない。

ただこの時点でもヒントはある。

「リューナの行動」と「魔術」

これが影響したのだろう、ぐらいには推察可能。

 

そしてギンカが魔術を使い、魚をゲット。「魔術師」というワードをリューナが口にする。

そして次のページでようやく、

 

魔術についての説明が入る。

この流れがすごく良かった。

なんでこれがいいかっていうと。面白い漫画って読者を引き込む力があって、その成分のひとつが読者に「考えさせること」だから。

あるいは予想や推理させる漫画が良い漫画とも言える。

HUNTER×HUNTERとかジョジョなどが特にその色が濃いと思う。

ただこの漫画は考察される作品になる可能性もあって、そうなるとワンピースとかDr.STONEみたいな感じになるかもしれない。

 

成長したリューナ

海賊王になるかのような決意で魔術師になると宣言した次のコマがこれ。

大人になったリューナ。

しかしここでも何の説明もない。無言だし、このコマも。

普通なら「何年後」かの表記があって、その後にこのコマが来るだろう。

 

当然のように動物ともおしゃべり。

魔術が使えるようになった……という説明も当然の如く無し。

 

そして合格。

何に合格したのかも説明する必要はないし、どんな試験なのか説明する必要も当然ない。

いろいろあった末、たったひとつ。

 

台詞ひとつで、5年間修行して魔術師になったことがわかる

この計算された話の流れ。

今後どうなるかはわからないけど、第1話としては近年稀に見る素晴らしさ。新連載どれが一番すごかったか会議を行ったらこの作品は確実に上位に来ると思う。

 

漫画としてのロードマップがしっかりしてるのも良かった。

目的がはっきりしてない漫画は良くない。

 

 

集英社/週刊少年ジャンプ2022年41号