ヒトクイマジカル 殺戮奇術の匂宮兄妹/西尾維新、竹」レビュー
- 2019.01.11
- 小説、ライトノベル
死なない研究、殺し名第1位、狐面の男。クライマックスへ向けて物語は加速する。
新書で買った人は、カバー裏を見るといい。
展開はクビシメロマンチスト
流れはだいたいクビシメロマンチスト。ミステリーな部分がありながらも殺し名第1位さんが登場したり、狐面の怪しい男が絡んできたり、いーちゃんの人生は退屈とは縁遠いようだ。
しかしまあ狐さんの格好って改めて考えると凄いよね。よくまあその格好で目立たないものだ。噂話どころか、下手すると都市伝説になりそうなんだが。なぜ哀川潤は彼を探し出せなかったのか。
で、今回のボディガードは姫ちゃんが担当。彼女にかかれば裏も表も大抵の相手は無問題。っていうフラグだったのさ。言い間違いがクビシメロマンチストの頃よりパワーアップしてましたね。いーちゃんとのコメディチックなシーンだけ切り取って読むのも面白い。しかしこういうキャラクターはだからこそ危ういって部分がある。葵井巫女子みたいな? 明るい子の方が死にやすいっていう謎の理論が働いてるよね、戯言シリーズは。
本領発揮の春日井春日
少女拾って、金は奪って、食ったらエロい気分になる。自由だなおい。
サイコロジカルの時とキャラが違う。あるいはこっちが本性か。
そもそもこれもいーちゃんのツッコミが上手いからかもしれない。彼の影響でボケが過多になった可能性も捨てきれない。
円朽葉
800年ぐらい生きてるっぽい生物。見た目は人間。
だけど化物語に出てきそうな、いわゆる怪異のような存在。狐さんの言い分が正しいとするながら、化物語の世界から来た可能性もある。
怪異だとしたら八百比丘尼ってところか。性格はガハラさんなんだけどね。
まとめ
ちょっと厚め。というか一番厚い。物理的な意味で。
次がどうなるのか、予測し難いところが面白いんだけど、ミステリーとしては残念ながらそこそこ。というか狐さんが場を乱しちゃったんだよね。良くも悪くも次への布石をばらまいていったことで事件への印象が薄くなった。
会話シーンは相変わらず面白い。いーちゃんのツッコミが多いのがいいね。あと木賀峰約の「――であろうことをこの私は予測していました」とかも結構好き。驚いてるときでもそれを言う根性が好き。こいつはこいつで普通じゃねーんよな。惜しいと言えば惜しいキャラ。こんな人がいたら大学も楽しそう。
狐さんとの因縁はこの時点で強く見せられていて、魅せられていて、弱いはずなのに強さに特化した匂宮出夢より危険な感じがする。そこが次への期待感へとつながっているのがポイント。見せ方というか読ませ方が上手い。
『ジェイルオルタナティブ』『バックノズル』の理論は結構真に迫るものがある。物事の大局というものは成るようにしか成らない。その過程にあるものには代替え品があり、そして多少物語が変わったとしても着地点は変わらない。まあそこにたどり着くまでの時間には違いが生まれるんだけどね。そこがこの理論の欠点かな。タイミングがズレればそれは別の結果とも言えるわけだから。
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