西尾維新『人類最強のときめき』感想・レビュー

西尾維新『人類最強のときめき』感想・レビュー

最強シリーズ第3弾。

宇宙人も出ないし、月へも行かないし、海底へも潜らないけど、人類的には一番のピンチ。

シリーズの中ではこれが一番好き。『人類最強のよろめき』『哀川潤の失敗 Miss/ion4. デジタル探偵との知恵比べ』が良かった。

 

 

人類最強のときめき

vs植物。

成長性がAで済まないレベル。ホラー映画に近いかな、状況は。

めずらしく哀川潤が疲労困憊になる。それだけでもレア。

でもまあ恐ろしさの割にはオチは弱め。敵は人間が一番いいかもね。特に哀川潤の相手は感情豊かなヤツがいい。

 

人類最強のよろめき

vs活字。

小説が人を殺す。そのアイデア、その一点が面白い。デジタルから最終的には本になるというアイデアもグッド。いずれ誰かが読むかもしれない。
ぷに子の布石はここで回収。人間シリーズで倒したけど、完全には破壊できてなかったんだよね。

ドクター・コーヒーテーブルも良いキャラクターだった。でも再登場は無いかな。「――と言うしかありませんね」ももう聞けない。
イラストが割と好み。やつれてる女子って絵になると絵になる。

彼女を追い込むのに『戯言』を使ったんだけど、戦いの結果も戯言遣いと対峙した相手みたいになっちゃった。物理で攻撃されたほうが、彼女にとっては良かったのかもしれない。

 

哀川潤の失敗

Miss/ion3. 死ぬほど幸せ

佐々沙咲との会話が面白い。なにがあったんだ、佐々沙咲に。

事件内容の時点でオチが予想できた。しかしそれでも良かった。読者に予想されやすい内容だったとしても、オチが良いということがある、その良い例かもしれない。

絶頂ということは、相対的に見ればその後は必ず不幸になるともいえる。故に絶頂時に自殺するという思考はそれほどズレてはいない。人間には自殺防止プログラムが組み込まれているので(完全ではないが)、こういったことで死ぬ人はおそらくいないだろう。しかし今より明るい未来が無いと知って生き続けるのははたして正解なのだろうか。とか少し考えてみたり。

ところで繰島箏子(くるしまそうこ)と桑島法子って似てない?

 

Miss/ion4. デジタル探偵との知恵比べ

vsデジタル探偵。と見せかけたタイトル詐欺。戦う相手は人だし、知恵比べというより物理攻撃といった方が的確な気がする。まあ使う人間次第という点に気付くのは知恵あってのことなのだろうが。

物事がスムーズにいかない空気がちょっとおもしろい。やる前から負けそうってやつ。
デジタル探偵は褒められてもいたが、これは転じて使えるソフトがあってもそれを扱う人間に欠点があると意味がないということだろう。普通の事件であれば警察と組むなりすれば解決できる問題だとは思うが。

ネタとしてはこれが一番かも。早々に哀川潤と絡んだ人可哀想ってなるのがポイント。

新しい物への考え方も良かったね。

 

Miss/ion5. 不敗のギャンブラーと失敗の請負人

vsギャンブラー(真面目)
ネタとしてはこれもいい。会話シーンも印象的で、勝つということについて少し考えさせられた。

強すぎる者は、連勝できる空間に身をおくべきではない。それは時と場合によっては卑怯であり、ただの弱い者いじめとも言える。

何の不正もしていないギャンブラーにはたして落ち度があるのかどうか、未だにその答えはでない。しかし結果は出るわけで、脳筋女……もとい哀川潤のやり方のほうが卑怯に見えてしまうのであった。

勝負の後の佐々沙咲との会話も良かった。優等生タイプのキャラクターと哀川潤との相性は抜群。

 

 

人類最強の請負人、哀川潤の名刺付き(電話番号の期限は切れました)。