西尾維新『人類最強の初恋』感想・レビュー

西尾維新『人類最強の初恋』感想・レビュー

最強シリーズ第1弾。

世界中にハブられた哀川潤。彼女に限っていえば、イジメられるほうが悪い。ような気もする。

ヒューレット准教授が初登場。哀川潤との対談が良かった。

 

 

人類最強の初恋

強すぎるので無視。敵がいなくなった成れの果て。ただ単に関わりたくないってだけのヤツも結構いると思うが。

そんな彼女も石丸小唄の前を見栄を張ったりもする。人外なのはステータスであって、中身はやはり人間なのだ。

戯言遣いの名前が出ただけでちょっとテンションが上がった。玖渚ちんの子供とかも唐突に話題に上がっていろんな意味でサプライズ。
といった感じで本筋じゃないところが面白い。

オチが弱かったってわけでもない。ただ宇宙人って唐突だよね。上遠野浩平に影響された影響がここに出たって感じ。『ブギーポップは笑わない』も宇宙人がいるって世界観だもんな。
しかしヒューレット准教授を支持するならば、やはり宇宙人はいないのだろう。しかしそうなると東京にクレーターが生まれた理由に説明つかない気もする。その辺りのことはヒューレット准教授はどう捉えていたのか。

とろみちゃん、他3名が新キャラとして登場するんだけど、結局絵にもなってないヒューレット准教授の方が存在感あった。
哀川潤との対談は何度も読み返した。なかでも、

大抵の人間は『行動』することが『目的』であり、持ってる者(特権階級)だけが『目的』のために『行動』できる。

これは分かる。すごく分かる。そしてこれは転じて、持ってる者は他人に期待し過ぎるなってことでもある。

哀川潤にいろいろされたとろみも面白かった。彼女の不運はここから始まったと、言わざるをえませんね。

 

人類最強の失恋

月を破壊したら地球が終わるってネタを使いたかった可能性。

面白いのは会話パートかな、やっぱり。
あと戯言シリーズで登場したキャラが、名前だけでも出るとテンション上がる。この話だと出夢くんね。

とろみが『哀川潤の被害者の会』要因として頭角を現してきた。そのレールは乗ったらあかんやつ。

しかもエリートなんだよね、とろみは。だからこそ頼られたりもするし、被害にも遭う。なまじ一般的な感性もあるからワトソン役として適任という。可哀想過ぎる個性。

怒らないように進言するのが特徴的だった。エリートとこういうことが言える者は少ない。まあ彼女にはエリートという自覚はないのかもしれないが。

しかしこれ月を破壊しても、破壊した部分が引かれ合ったんじゃないかな。殺せんせーぐらいの威力じゃないと多分難しい。

まとめ

読み返しても楽しめる1冊。
何より人類にハブられてる人類最強って出だしが面白い。
世界規模のイジメとかさすが。

寂しがり屋なのでシースルーの行動は実はファインプレーだったと思う。哀川潤包囲網を自力で突破するのは哀川潤にとっては難しいのだ。とはいえ味方も多い彼女のこと、いずれその包囲網は解かれていたとも考えられる。

合コンに少し興味が沸いたが、石丸小唄がおしいところを持っていったらしいので今後はないかもしれない。ほんと笑える。

 

 

「萌え」と呼ぼうとした七愚人フロイライン・ラヴ博士が少し気になった。