【魔女の旅々】第8話「切り裂き魔」テーマ考察

【魔女の旅々】第8話「切り裂き魔」テーマ考察

魔女の相手はスリル、ショック、サスペンス。

このアニメ、風刺や教訓を気にする勢が多いんだけど、今回は考察に苦戦してるらしい。なので少しだけ解説しておこう。

まあアニメなんてもんは楽しめりゃあそれでいいんだけどね。

 

価値観の違い

今回の悪役。人形店の店主。

視聴者からするとサイコパスっぽい感じ。会話の噛み合わなさがそれっぽい。

普通に見るとやべー奴が悪さして、魔女に成敗されるというお話。

しかし彼女は最後までブレなかった。そこに不快感を覚える人が結構いるそうな。

正常な感覚だと思うけど、だからこそそこにテーマが隠れていたりもする。

 

彼女は人形が好きで、それを利用して周りを幸せにしている。それが彼女の正しさ、つまり正義。

ついでに人の感情も好物。というのが彼女視点の物語。

イレイナ視点だから彼女が悪役になったというだけのお話。闇オクの住人からすれば正義の象徴のような存在だったのだろうけど。

とまあここまではよくあるお話(前フリ

 

善悪の違い

ポイントは彼女が私利私欲に走っていないということ。

彼女はイレイナに出会ったときに、

 

 「いいんだよ。お金じゃないんだ! ぼくはみんなが喜ぶ顔が見たいだけなんだよ」

 

と善人っぽくて逆に悪人っぽいことを言う(イレイナはなぜか信じたが

視聴者視点だとどう考えてもこいつが犯人なんだけど、しかし確定した後でも彼女の言葉には嘘偽りが無いことがわかる。

 

「お金はほんとうに要らないよ。闇オークションの儲けだって、いつも全部恵まれない人達に寄付しているしね」

 

はい、こっちがテーマ。テストにでます。

彼女は社会悪なんだけど、同時に恵まれない人達に寄付をしている。闇オクで得た利益は高額で、それを全部となると数万人、数十万人、あるいはそれ以上の人を救ってきたことになる。結果を出している。しかし過程は良くない、故に悪

対してイレイナは常識的には正義の行いをしている。なのでイレイナの側が正しい。

しかしイレイナには徳を積むという発想はない。あくまで自分の髪が切られたから、あるいは魔女の沽券に関わるから事件に身を乗り出しただけ。みんなの為に切り裂き魔を捕らえたわけじゃない。あくまで自分の為。

つまり今回は、みんなの為に動いた(と思い込んでいる)悪私利私欲で動いた正義のエピソード。

オチは事件解決恵まれない人達への寄付の中断

髪を切られた側からすればイレイナは正義恵まれない人達から見れば店主が正義

 

ちなみにとあるゲームでは暗殺者を殺した後で、その暗殺者が恵まれない子達を養っていたことが分かるエピソードがあって、作中ではその後、主人公サイドの人間がその子供たちを助けるというオチだった。そこまでやって初めて正義と呼べるのかもしれない。

 

殺人事件(実際は違うが)があったと知って食欲を失わないイレイナは控えめに言っても正義じゃあないわな。悪でもないけど。

個人とは関わるけど、社会とは関わらないといったポリシーを感じる。

しかし社会とは個の集まりなので、結果的に村や町、国などを大きく変えていくのだろう。

 

彼女はワトソン役だからね?

 

ワトソン役は有能で常識人(立場は関係ないし、上であることもめずらしくない

ミステリーのテストにでるので要注意。

 

『ふつう』の感想はこちら

【魔女の旅々】第8話「切り裂き魔」ふつうの感想

 

© 白石定規・SBクリエイティブ/魔女の旅々製作委員会