荒木飛呂彦『岸辺露伴は動かない 2』レビュー

荒木飛呂彦『岸辺露伴は動かない 2』レビュー

『D・N・A』って『別冊マーガレット』で掲載されていたそうですね。どうりで後味が良いと思った。意外と気を使う荒木飛呂彦である。普段は悪い人間を描くのほうが圧倒的に上手いのに。

岸辺露伴らしかったのは『ザ・ラン』かな。勝負事に対する姿勢が実にらしい。でもちょっと……いやかなり動きすぎだと思うんだ。

 

 

#04 望月家のお月見

昔のホラーでありがちな展開。出るなよ、出るなよ、出ちゃう――みたいな。

姓が変わるって発想7割。一応ハッピーエンド。

そして宇宙人ポールは名作。

 

#07 月曜日 天気-雨

スタンド攻撃かな?

このなにか妙だ……と思わせる空気。最初は些細なことで、読者だけが気付くことなんだけど、その『些細』が積み重なると『なにかおかしい』が確信に変わる。

でもこれ無意識ってところには違和感がある。異変に気付く人間が少なすぎない?

スマホを使ったネタを取り入れたかったってところかもね。題材が先に決まってからストーリーを考えたパターンだと見た。

 

#08 D・N・A

ハッピーエンドを意識したらしいエピソード。1冊にふたつのハッピーエンドがあるなんて、これはもう奇跡だ。

でもこれ途中までは嫌な予感がするんだよね。なにかよくない終わり方をするんじゃないかっていう。岸辺露伴が読者代行みたいなところがあって、岸辺露伴が意外と思うのは読者が意外と思うのに等しい。全体的に読者を裏切る展開が多いよね。オチだけ変えた落語みたいな?

山岸由花子の顔の変化たるや。別人じゃねーか。

 

#09 ザ・ラン

勝負に対するフェアとアンフェアを上手く描いている。

ルールが絶対というルールのなかで、それでも負けない為にはどうすればいいか。極限状態でのギリギリのフェアプレー。だけど相手がそれで納得してくれるとは限らない。許してくれるとは限らない。

でもこれよくよく考えてみると勝負への姿勢は、イカれ具合は、露伴と似てるのよね。チンチロリンで言うと露伴が仗助の立場って感じ。

「ここ賃貸だよ」はリアクションとしておかしい。その反応で済ませられる状況じゃねーでしょ。

 

 

雑誌にとらわれないスタイル。どこでいける。どこでも浮いてる。