荒木飛呂彦『岸辺露伴は動かない 2』レビュー
- 2019.03.15
- 荒木飛呂彦
『D・N・A』って『別冊マーガレット』で掲載されていたそうですね。どうりで後味が良いと思った。意外と気を使う荒木飛呂彦である。普段は悪い人間を描くのほうが圧倒的に上手いのに。
岸辺露伴らしかったのは『ザ・ラン』かな。勝負事に対する姿勢が実にらしい。でもちょっと……いやかなり動きすぎだと思うんだ。
#04 望月家のお月見
昔のホラーでありがちな展開。出るなよ、出るなよ、出ちゃう――みたいな。
姓が変わるって発想7割。一応ハッピーエンド。
そして宇宙人ポールは名作。
#07 月曜日 天気-雨
スタンド攻撃かな?
このなにか妙だ……と思わせる空気。最初は些細なことで、読者だけが気付くことなんだけど、その『些細』が積み重なると『なにかおかしい』が確信に変わる。
でもこれ無意識ってところには違和感がある。異変に気付く人間が少なすぎない?
スマホを使ったネタを取り入れたかったってところかもね。題材が先に決まってからストーリーを考えたパターンだと見た。
#08 D・N・A
ハッピーエンドを意識したらしいエピソード。1冊にふたつのハッピーエンドがあるなんて、これはもう奇跡だ。
でもこれ途中までは嫌な予感がするんだよね。なにかよくない終わり方をするんじゃないかっていう。岸辺露伴が読者代行みたいなところがあって、岸辺露伴が意外と思うのは読者が意外と思うのに等しい。全体的に読者を裏切る展開が多いよね。オチだけ変えた落語みたいな?
山岸由花子の顔の変化たるや。別人じゃねーか。
#09 ザ・ラン
勝負に対するフェアとアンフェアを上手く描いている。
ルールが絶対というルールのなかで、それでも負けない為にはどうすればいいか。極限状態でのギリギリのフェアプレー。だけど相手がそれで納得してくれるとは限らない。許してくれるとは限らない。
でもこれよくよく考えてみると勝負への姿勢は、イカれ具合は、露伴と似てるのよね。チンチロリンで言うと露伴が仗助の立場って感じ。
「ここ賃貸だよ」はリアクションとしておかしい。その反応で済ませられる状況じゃねーでしょ。
雑誌にとらわれないスタイル。どこでいける。どこでも浮いてる。
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