小説『恥知らずのパープルヘイズ -ジョジョの奇妙な冒険より-(上遠野浩平)』レビュー
- 2018.12.22
- 小説、ライトノベル
5部の後。裏切ったとされるフーゴが主人公。
雰囲気がものすごくジョジョ。上遠野浩平しゅごい。
その後のフーゴの胸の内
裏切ったとされる――というのがポイント。
原作では表情がわかりにくいキャラクターだったフーゴ。ブチャラティについていかなかった彼の心情は原作では描かれることはなかった。『そこ』がこの小説では描かれていて、補完されている。フーゴのその後が気になるって人にオススメ。
心の揺れが上手く描かれていて、そこが面白さに繋がっていると思う。これは二次創作ではなく原作のフーゴと見ていい。それぐらいの完成度。
ジョジョの小説って結構あるけど、これが一番好き。
序盤の違和感と納得のエピローグ
これね、実は序盤は違和感があって、この小説はハズレかなーと思って最初は読んだのね。
フーゴが裏切り者扱いされているし、フーゴ自身もそのように感じている。そこに違和感があった。そもそもブチャラティは付いて来いと『命令』してないからね。付いて来なかった者が裏切り者という考えはブチャラティの意思を汲んでいないってことだ。
しかしエピローグでのジョルノとのやり取りですべてが解消された。つっかえていたものが見事に取れた。ジョルノの言う『良くないところ』がこちら(読者)に向けられていたような、そんな錯覚に陥った。フーゴはただ流されてそう選択したと思いこんでいただけだったのだ。
まとめ
紫な本でした。手に取ったら分かる。本の装丁からして良く出来てる。
そして小説の雰囲気がものすごくジョジョ。言い回しもそうなんだけど、ほんとに凄いのは地の文。ジョジョをよく知っている人が書いた。あるいは荒木飛呂彦より詳しい可能性すらある。それぐらい緻密に作られた、何度読んでもジョジョらしいと思える良作。
その影響かな、原作とのつながりも自然だった。トニオの弟とかね。設定が溶け込んでる。良い意味で原作寄りの小説。
それでいて個性的な部分もある。能力の根源とかがそう。スタンドが人間の精神から生まれたということが分かる見せ方、描写。キャラクターとスタンドの繋がりが見える。ように見える。
総じて違和感なく読める一冊だった。あるいは原作より細かいところが読めたぐらい。ジョジョファンも満足する内容だと思う。オリジナルキャラクターの立ち絵やスタンドのイラストがあるのもベネ。スタンドはやはり絵があった方がいいしね。
ちなみに『VS JOJO』の第1弾でした。
当時は『上遠野浩平 vs GIOGIO』として展開。その後は乙一、西尾維新などが。
余談だけど、ジョジョのゲーム『オールスターバトル(ASB)』では小説のネタが。技のモーションと声優は良いゲームだったんだよなぁ。
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